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今までの「アイ love 授業」…バックナンバー編


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2021 ・3学期

March


3・26
春休み。
授業の感想で、しびれた感想を書いてくれた男の子。
「映像を見て、それに関係する物を見せてくれたり、
 さわらせてくれたり、その時代の人々の暮らしや
 文化を直接、感じさせてくれて、その度に、
 たかが一つの時代の中でも、様々な人が、
 様々な思いを持って生きていて、今現在の時代と、
 まったく変わらないんだなと思いました。
 古き良き伝統は、今でも、しっかり引き継がれていて
 大人になった時には実際に自分の目で、まだ残っているのか、
 見てみたいなと思いました。
 すてきな体験の一年をありがとうございました。」

しびれるでしょう?
学年集会の場で、最後の「すてきな体験の一年を~」のところを
紹介しました。みんな、ちょっとどよめいていましたよ。
この男子が控えめな男の子なので、余計に意外だったようですね。
それもねらいでした。
来年一年のつもりです。がんばるぞ~~~~。

3・7
もう3月。
土日は、4人家族の食事と洗濯だけで1日。
あとは、パワーポイント作りで何十時間も使い、
テストと採点に明け暮れた2月でした。
さて、授業は、江戸時代の最後に。
我らは2年生ですが、1年生の社会科担任が、
もう安土桃山時代を終えたと聞いて、どんな中身なんだと不思議。
言っちゃあ悪いけれど、そんなに休校中、関係なくて、
どんな薄味なんだろうと、気になります。
そうかと言って、近現代史をしっかりやるわけではなく、
構造よりエピソード歴史なのかと・・・。
進度よりも私は子どもたちの心に残る授業をしたい。
何よりも「わかった」と言ってもらえる授業をしたい。
その楽しさこそ、社会科の授業だと知っているから。

そこで、・・・・また、今年も第二回目、
私は○○(名前)博物館をやりました。

その感想を紹介します。

江戸は今までの時代よりも、もっと芸術文化が
進んだ時代なんだということがわかりました。
町人なども芸術・文化に参加できるほど、
世の中が安定していたのだなと思いました。
・・・・・そう言われてみると、やっぱり江戸は安定期です。
     江戸時代のすごさは、ここにあると思う。(私から一言))

火縄銃を実際に持ちあげたが、かなり重かった。
あんなに重い物を持って、移動するのは、大変だから、
なるべく動かずに戦ったのだと思った。
玉鋼を持ったが、だいぶ重くてあの塊を作るのに、
すごい量の砂鉄を使ったのだと思う。
・・・・・よくわかっている。
     本当にやったことが身についている。(私から一言)

触ったり持ってみたりして、それがどんな時代に
どんなふうに使われていたか、想像してみると、
とても楽しい。
こんな機会滅多にないからすごく面白かった。
・・・・・・ありがとう、おもしろがってくれてうれしいな(私から)


February


2・9
写真は、久津見さんが教わった
人間国宝:刀鍛冶の天田昭次さんです。

戦国時代の鉄砲について、扱ったが、
また、新しく鉄の番組を見せたことで、
日本に鉄砲が普及したことの傍証となって、
子どもたちにはより身近になったと思う。
とにかく、鍛冶屋の技術がすごい。
鍛錬で何層にも鉄の層を作りだすことで、
丈夫、しかも用途にふさわしい鉄を作りだす。

日本刀の技術は、鉄砲の筒を鍛錬するのにも、
とても役に立っている。
断面を見ると、それがよくわかる。
洋式銃は丸い筒。
日本の火縄銃は、表側が8角形で、
中の筒が丸。二重になっている。
だから叩きやすいだろう。
たぶん洋式銃は、同じころは鋳造。
それに比べて日本式は鍛錬なので、丈夫だったでしょう。

日本刀を作る技術が、日本に火縄銃30万丁を
もたらし、当時としては強大な軍事国家を築いた
とテレビ番組でも述べていた。
子どもたちは、釘を叩いてペーパーナイフも作ったし、
その点、バッチリである。!!!

その番組は、「たけしアート☆ビート」で、
吉原義人さんを扱った回だ。
プロジェクトXにも登場した刀鍛冶。

この番組では本当にていねいに、
一から刀鍛冶の実際を追ってくれている。
まず、たたら製鉄でできた玉鋼を叩いて薄く延ばす。
そうして、小さく割る。
・・・・ここがわからなかったところ第一。

次に名刺大くらいに割った小さな玉鋼を
二種類に分ける。
炭素分が多い固い鋼と
炭素分が少ない鋼と・・・に分けます。
この分類は、熟練の技。
断面を見て、分けていくのです。
ここが、知らなかった技術、第二。
(今の多くの鍛冶屋さんは、二種類の鋼が
 売られているのを買ってきて、
 包丁の刃に挟み込んでいる。
 吉原さんはそれを、自分で見分けて使う!すごい)

それを、それぞれ200ccの
牛乳パックぐらいの大きさに重ねて
和紙で包み、それを、それぞれ
叩いて折り、叩いて折り・・・の鍛錬をして
それができたら
固い鋼の間に柔らかい鋼を挟み込む。
そして、今度はこの二層の鋼を、
60cmの刃の形に叩き、叩き、・・・ひたすら叩いていきます。

第三の驚きの技術、それは、6時間かけて
直刀の形を作っていくこと。
それは、ひたすら吉原さんの頭の中に
形ができている。ひたすら刃側を打ち、みね側を打ち
刃の角度も表と裏、両方から同じ角度に打っていく。
包丁のように、砥いで角度をつけていくのではなく、
刀時代に表と裏の刃の角度を同じに付けて叩いていく。

そして、第四、土置きと焼き入れ。
厚くみね側土を塗った方は伸びず、
薄く刃側に土を塗った方が伸びる・・・これが波紋とそりを生む
秘伝の技術!
焼き入れの時にもみね側と刃側で木炭の中で
温度を変えて温める技術・・・これも目視で!

これら、すべて、吉原さんの頭と体の中に
積み重なって残っている技術。

久津見さんは、人間国宝の天田昭次さんに、
「砂鉄は鉄になるのを待っていますよ」と言われて、
鉄づくりを始めましたが、
天田さんは、玉鋼も作りながら、
こうした鍛冶の技術をご先祖様からも受けついで
それで、久津見さんにもその情熱を伝えられたのだと思うと、
すごい方がいて、すごい技術があって、
日本の伝統工芸、技術は、
すごいものなのだなあと、
ため息が出るほど、恐れ入ってしまうのです。




2・7
今回大航海時代を勉強するのに、また、
ふくらませてくれる番組を見つけました。

NHKがお正月にやっていた番組。
トレジャーハンターが題材でしたが、
カリブ海に眠る沈没船のお宝を発見した人々が出ていました。
インカ帝国の富のイメージがつきにくいし、
スペインの侵略性が思い描きにくかったのですが、
奪った金と銀を、具体的にイメージできます。

しかし、驚きました。
カリブ海のフロリダ半島沿岸には、2000隻の沈没船があり、
何という船でいつどこに沈んだのかという
地図が作成されていました。
人間の欲とは恐ろしいものです。

そして、一隻の沈没船から引き揚げたお宝には、
なんと、銀の延べ棒だけで、100億円。
こういう例えでどうでしょうか?
学校全員の生徒たちがみんな家を一軒ずつ建てられる金額。
そう言うと、ちょっと驚いていました。

でも、他にスペイン銀貨がバケツに大量に。
飛行機の座席や荷物置き場も埋め尽くすほど。
何しろ、チャーター便で持ち帰るために・・・。
全部で、600億円相当の沈没船のお宝を
アメリカの会社が見つけたのです。
しかし、スペイン政府が返還訴訟をアメリカの裁判所に
起こし、すべて水の泡、スペインに返還されたというお話。

でも、その財宝、番組で見るだけで、
その量に呆然とするぐらいですが、
・・・しかししかし、
本当に返還すべきは、ペルーなんじゃないだろうか?
インカ帝国の人々のお宝だったのではないだろうか?

他の番組を見せましたが、インカ帝国の皇帝アタワルパは、
部屋いっぱいの黄金製品と引き換えに命乞いをしたと。
それでも、殺され、全てスペインに奪い去られた・・・というエピソード。
今回は、子どもたちと見ていて
インカ帝国の黄金製品が残っていたら、
どれだけ、先住民としてのアメリカ大陸の人々の、
誇りとなりえたか、文化の高さを示すものだったであろうし、
どれだけの南アメリカの国々の国立博物館に提示され、
世界中の人々を魅了しただろうと、・・・・

それなのに、南米の人々のアイデンティテイとなる
文明の遺物を、根こそぎ奪っていった
スペインのその当時の文化水準の低さに、
ぞっとします。何千年の文明を根底から奪い去り、
跡形もないほどに消し去ったのですから。

沈没船のお宝を見てみると、
紹介されるのは、金の延べ棒、銀の延べ棒、金貨、銀貨です。
つまり、南アメリカの現地で全て芸術品・国宝級の宝物を
全て溶かして、「お金」に変えたのです。
スペインも、ポルトガルも
教師になりたてのころ、旅しました。
その膨大な富は、どこに行ったのかと思うくらい、
痕跡は無かったです。
イタリアのルネサンスのような芸術運動も無かったし、
残るのは大聖堂だけでした。
溶かして自国のお金に替えたというのが、
とても不遜で、とても傲慢で、
文化の帝国主義を表しているようにつくづく思います。
悲しいことだと思いました。




2・5
クラスの子どもたちの中に、傷つきやすい子がいます。
勉強が苦手、一人っ子なので、
クラスのメンバーとも、なかなかうまく
コミュニケーションができない。
たぶん、今まで小学校でも、中学校でも
たくさん我慢して、
社会に適応してきたのではないでしょうか?
それでも、部活にやりがいを感じて、
がんばってきたのに、このコロナ下。
我慢の糸が切れてしまいました。
暴れるでもなく、そのトゲは、自分に向かっているよう・・・。

話をクラスの子どもたちに聞く機会があります。
教育相談という、面接の機会。
その中で、自分はいてもいいのだろうか?
いらないんじゃないか、そうつぶやく子は
数人います。

その子たちへの細かい心遣いがとても大事です。

そのうちの一人と、最近本音のところで、
やっと話してもらえるようになりました。
言葉は少なく、表現は「やばい」「ムリ」
そういう言葉しか使えませんが、
自分の限界に達している様子を伝えてくれます。
それが、とても私はうれしい。
だって、1年たって、ようやく話してくれるように
なったのですから。
もっともっと話したい。
もっともっとつらくないように生活させてあげたい。
彼のためにできるベストを尽くそうと思います。


January


1・14
ソルジャー・ブルーの映画の一部分を見せています。
映画は1864年のサンド・クリークで起きた
シャイアン族の虐殺事件を扱ったものです。
学生のころ、白井春男さんの
先生たち向けの人間の歴史塾で
見せてもらいました。
その時、私は号泣。

主人公、騎兵隊のホーナスとインディアンの側に立った
キャンディスバーゲン演じるクレスタという女性の別れに、
生きる場所の違いからくる運命の悲劇を感じて・・・との思いでしたが、
これは、テレビ放映版でした。

数十年後に、あとから、本物をネットで購入してみると、
余りのすさまじさに、寒気がするほど。
騎兵隊の残虐行為の告発の映画になっています。
女性の胸の肉をそいだり、首や手足を切ったり、
女性や子どもを中心に銃撃したり、襲ったり・・・。
「まだら狼」の名の酋長が白旗を掲げたのに・・・。

時は、私の学生の頃に起きた、ソンミ事件が生々しく
明らかにされていたころ。
また、その頃、「考える高校生」という今の高文研が
発刊した新聞を始めたころ。
その表紙を飾っていたのが、殺したベトナムの子どもの遺体を
持ち上げる米兵の写真・・・・。
そのうつむきがちな顔が、笑っているようにも見えて、
強烈な印象を私に植えつけました。
学生だった私には、とても許せない、
あると思えない残虐行為を見せつけられた最初でした。

ソルジャーブルーを見直すたび、
ベトナム戦争と、アメリカの良心と、
キャンディスバーゲンの魅力とに、何度も思いをめぐらします。

キャンディスバーゲンの演じるクレスタは
弱い者に共感し、残虐行為に怒り、
白人でありながら、荒野を一人旅して、
自分なりの人生を歩こうとしています。
私にとってはスターでした。
ベトナム戦争の頃のアメリカの良心には、
とてもとても憧れました。
ブラックピープルの力ともに、一番憧れた
社会であり、人々だったのに、
そのアメリカは、どこに行ってしまったのでしょう?


1・10
明けましておめでとうございます。
新年のご挨拶が遅くなりました。
今年の冬休みは10日間、
しかも4日学校の当番で出勤。

少しの大掃除とお正月の用意、
あとは、パワーポイントに明け暮れました。

今まで、授業した内容を、
まるで絵本にしている感覚。
ずっと20代から人間の歴史の内容を
絵本にしたいと、誰か描いてくれないか、
自分のデッサン力を付けて絵本を将来作れないか・・・
そう思っていたので、
内容も、文章も、ネット上のイラストのイメージも
すらすら出てきます。
湧いて出てくるようなイメージが、
大変だけど、楽しい。
いつか、HPに載せられるように頑張ります。

2学期の感想も、たくさんうれしい文章を
子どもたちにもらいました。
明日にでもご紹介しましょうか?
今年もよろしくお願いいたします。





人間の歴史の授業を創る会

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