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苦労した話・・・ベテランから贈る言葉   PRESENTS


クマゴロ―先生に聞く




第4回 授業が楽しくなってきましたよ   

Q 長らくお待たせしてしまってごめんなさい。
A 待ちくたびれましたよ。

Q エ~~と、どこからでしたっけ?
A 忘れられたんじゃ、困るね、きみきみ。

Q いろいろと授業が変わっていったという話でした。
  そのきっかけが、またありますか?
A それが、白井さんから、合宿研究会で会った時、
  「あなたは、始めないから、こりゃあダメだ」と言われた。

Q 何だかひどい言いかたですね。
  私だったら、グサッときて、反発しちゃうかな?
  それはどういう意味だったんですか?
A 人間の歴史の教材をやらないから・・・
  ものづくりは、やっても、歴史の自主編成に
  チャレンジしないんだね、そりゃあ残念だ・・
  という意味だったんでしょう。
  でも、それが悔しくて悔しくて・・・
  内心、そんな切って捨てるような言い方をされるのか・・・とか、
  僕に、どれだけしてくれたんだとか・・・

Q いやあ、相当、カチンときたんですね。
  研究会の緊張した雰囲気がビンビン伝わります。
  何か言われると、なにくそって思いますね
A 白井さんは「その人の行動の変化があったところを
  よく覚えているんだ」と言ったんです。

Q それで、先生は?
A つまり、本気で「人間の歴史をやるのかやらないのか」
  突きつけられたように思いましたね。

Q その悔しさを、どうしてやろうと思った?
A ちょうどその時、人類の人口の変化を表わしたグラフを
  研究会で見ました。
  かなり長くて大きくて、
  農業の発明と産業革命が、人口を爆発的に増やしたとわかった。
  これなら、年表より簡単に思えましたよ。

Q ダイナミックに歴史をやろうと・・・・
A そうそう、そして「歴史の時代の変化が大事なんだ!!」とわかったわけ。

Q 学校に帰ってからは?
A 学校の方では、前から子どもたちから言われていたことがあった。

Q なんですか?
A だんだん教科書から離れていくわけです。
  歴史の時間は、地球の歴史から始まる。

Q 私たちの人間の歴史では、そうですよね。
  神様ではなく、地球が人類を生み出したとして・・・ね。
A ところが、「なんで恐竜から始まるの?」
  「なんで地球の歴史から始まるの?」と聞かれる。

Q それはそうでしょうね。
  どうやって先生は答えるんですか?
A 私も困ってしまって・・・。
  だから、そういう質問を予想して、
  準備するようになったんです。

Q ええっ?何を準備するんですか?
A 先ずスタートは教科書選びですよ。

Q ふむふむ、どういうことですか?
A 高校は、自校で選びますから、現代社会の教科書を
  自然環境から始まる教科書を選んでおく。

Q ああそうすればいいんですね。
A それから、たくさんいろいろ用意しました。
  ビデオプロジェクター  60万円しましたよ。

Q ええっ!!60万円自腹で?
  今のプロジェクターの最初ですよね
  60万円もしたんですか・・・ちょっと絶句ですよ。
A それだけじゃなくて、教材集めもしたし
  アッテンボローの「生き物たちの地球」のシリーズも
  全部録画をして集めた。
  教具もずいぶん集めました。

Q いっぺんにすごいですね。
  その情熱、火がつきそうだ。
A 織り機、紡錘車、糸車、ジェニー紡績機の模型
  ヘロンの蒸気機関模型 地機 力織機
  高機、蒸気自動車 蒸気船・・・・

Q 先生、私たちの博物館なみでしたね
A それだけじゃありません。
  教具もずいぶん集まって来たけど、
  また、新しい見通しができる材料があった。

Q それは何ですか?
A それはね、久津見さんの本「人間ってすごいね、先生」
  と、白井さんが作ってくれたプリントでした。

Q それはどんな意味があったんですか。
A 久津見さんの本は小学校六年生の実践だけど
  地球の歴史からベトナム戦争までの通しの授業だったから
  全体像が見えました。

Q 小学校の授業でも、高校で役立つわけですか
A そうそう、授業計画を見たわけ

Q なんだ、おもしろい所じゃなくて、計画だったところが、
  超真面目!!!ですね
A いやいや、年間の計画を立てるには、
  それが必要なんですよ。

Q そう言われるとそうかもしれない。
  どれだけ時間がかかるのか、
  何を内容として良いのか
  適当にやればいいってもんじゃないですね
A 人間の歴史をやるなら、
  適当にはやれない、・・・・
  文部省の言うとおりにやっているわけじゃないから、
  授業がつまらなくても、人のせいにはできない。
  だから、必死になって計画を自分でも考えた・・・ということかな
  
Q 白井さんのプリントは?
A B4の年表もあるし、読み物もあった。

Q 読み物って言っても、時代ごとの文章でまとめたものでしょう?
A いやいや、違いますよ。
  20ページぐらいあって、コンパクトにまとめたものです。

Q ああ、そうですね
A その最後のページにこう書いてあったでしょ。
  「私たちの力は小さくとも、小さな力を集めれば、
   それは無視することができない・・・」と書いてありました

Q それって歴史を勉強する意味ってことですね。
A そうですね。そう思うことが生きている意味ってことでしょう?

Q ずいぶんなんだか、本気になってきましたね
A ええ、学校が変わって次の学校に移ったら、
  全部が楽しくなっていった。

Q いやあ、脂がのって来たんですね
A それはおかしいね。そうじゃなくて、
  ノート交換を始めたんですよ。

Q 交換日記ですか?仲良しになるため?
A そんな不純なもんじゃないですよ。
  そのきっかけはね
  どうでもいい授業じゃないから、・・・・失礼!
  やりたくてやっている授業だから
  教室のみんながどう考えているか、知りたかった。

Q そりゃあ、知りたくなりますね。
  力を入れて授業しているわけだから、
  どんなふうに、例えば面白いのかおもしろくなかったのかとか
A それだけじゃないんです。
  いやらしいことを言えば、
  たとえば、インカのジャガイモ栽培を見せると
  正直に高校生は書くわけです。
  「毎日ジャガイモばっかり食べて、
   他に食べる物が無いのか」って書く。
  だから、赤ペンで
  「日本人は、何でお米ばかり食べているんだろう・・・
   これとおんなじじゃあないかな」って返事する。
  
Q そうか、そう返事をして、・・・
  つまり、農業の文化を伝えるっていうことですね。
A そう、何とかして、そこに生きている人たちの
  誇りを伝えたい。・・・・

Q かっこいいですね。
A そうやって、ノートに、ひとこと書くわけですが、・・・
  こっちが気を抜いて簡単に書くと、子どもたちも簡単に返事を書く。

Q そりゃそうですが・・・
A だから、手を抜けないし、・・・
  次の日には必ず渡すようにしていたので、
  子どもたちが、授業の一番初めに
  ノートを返すと、パッと見る・・・・

Q わかります、わかります
  必ず、どんな子でも、何を書いてくれたかと期待してますよね
A それなのに、見て、ぽいと、机の上に置く子がいる。
  すると、ああ、ダメだったなあと思って、
  次の日は、もっと書こうと思ったものです。

Q いやあ、重労働じゃないですか
A そりゃそうですよ

Q 毎日だいたいどのくらいの人数見ていたんですか
A えーと、だいたい毎日平均すると
  80人くらいかなあ

Q いやあ、大変大変
A それも、高校生だって、自分のノートに何が書いてあるか
  お互いに見せあうでしょ。
  それで、同じことが書いてあると、
  なあんだ・・・と言って、
  ノートをパッと閉じるんです。

Q そりゃあ、ちょっとショックだけど、・・・
A 高校だったら、そんなにノートを見て
  何か書くなんていうことは、私自身も
  全然やったことがなかったわけ

Q そういえば、私だって、高校で
  先生にノートを見せたなんて言うことは
  なかったかも
A だから、ノートをパッと閉じられると
  ショックだし、また、がんばらないとと思ったんです。

Q でも、疲れるばっかりだったらやらないけど
  いいことがあったんですね。
  「人間の歴史」をやって、感想をノートに書いてもらうと
   うれしいこともあったんでしょう?
A そうそう
  「人間って変わらない、時代が変わっても・・・」とか
  「被支配者と支配者の関係、
   される側とする側は、今も続いているんだなあ」とか、書いてくれた。

Q それは、なんだかすごい。
  どんな授業の時ですか
A 山椒大夫の話で、姉・弟が売られていく話を
  単純に、かわいそうだというだけじゃなくて、
  その前の奈良時代の社会と共通して見てくれていたのか・・・
  とうれしくなったわけ。
  
Q 高校生だからいろいろ書いてくれますよね。
A それを読んでいると、
  僕の授業で、世の中が見えて、
  役に立ったんだなあとホッとして、少しは伝わったのかなあ
  と気持ちが楽になりました。

Q 授業のしがいが出てきたということかな
  高校生だから、当然と言えばそうですが、
  やっぱり社会を見ているんですね。
A でもね、すべてが平和じゃないんです。

Q 苦労もあるね
A 意外にまじめな子が、斜めに見ている。
  批判的に見ている子がいて、冷たい視線を感じもします。

Q そういう子たちはどうするんですか
A 直接言いに来ることが多いんですよ。

Q なんていうんですか。
A 授業にはついてくるけれど、
  この授業がどんな役に立つのかな
  とか、いつもビデオばっかりとか・・・
  時には、洗脳しているんですかと聞かれたこともあって・・・

Q さすが高校生、びっくりするし、
  おかしいです。ふふふ
A 私もビックリ!!
  でも、ああ、そうね〜〜と、受け流して・・・

Q いろんな高校生がいますね。思春期だし・・・
A そうそう、また思い出しちゃったけど、
  テレビの小さい画面だと、下向いちゃって
  見ない子がいるんですよね。

Q ああ、それはいるかも。
A メガネもかけない、近視なのに・・・。

Q います、そういう子。ちょっとしゃくにさわるね。
A だから、プロジェクタ-を自腹で買って
  100インチにして、いやでも見えるようにした。
  60万円したけど。

Q すごい過激!!見ないなら見せてやろう。
  「鳴かぬなら,鳴かせてみせよう、ホトトギス」ですね。
  でも、それに60万かける意地っ張りがすごい。
A 5年月賦でした。

Q よく覚えていること、覚えていること
  奥さんに怒られませんでしたか。
A いや、いや、それは、学校に置いておいたから、
  ばれませんでしたよ。
  それに月賦だから一か月1万五千円くらい・・・
  小遣いの範囲だから

Q 小遣いの範囲だからって・・・
  そんな秘密バラしちゃっていいんですか?
  ・・・と言っても、もう時効かな?
  それに、下向いている子を前に向かせたいから60万って
  やっぱりそれは、先生、過激派ですよ。
A やっぱり見せたいんだね、見せたくて選んだビデオだから・・・
  それだけじゃなくて、絶対見てほしいから、教室を真っ暗にする。
  電気を消しちゃったんです。

Q 真っ暗じゃないですか。
  いや、私の教える中学生は真っ暗にすると寝ちゃうから
  私は絶対真っ暗にしないで、一つでも蛍光灯つけときます。
  そこは、駆け引きだな。
  私も、中学生の顔色見ながら、そうやって電気をつけたり消したり・・・
  おんなじことやってますね先生!!
A そりゃ、考えますよね
  ノートに、ひとこと書いてほしいんだし、
  書いてもらうには、まず、ビデオを見てもらわなくちゃいけないし・・・
  それで、下向いて、何にも見てくれないんじゃ・・・・

Q あれ〜〜なんだか同じような光景、以前にも聞かなかったかな?
  ああ、そうそう、カーテン事件でしたね。
  授業ボイコットだ!!
  それにちょっと近い感じかな?
A いやあ、そんなに大げさには、相手は考えてなかったと思うけど、
  他の子たちは、ちゃんとノートを出して、
  見ると、書いてあるから、
  ずっと彼が気になるわけです。

Q 毎回、下向いてるんだったら、気になりますね
A 今まで、教科書だけで教えていた時には、前を向いて・・・と言っておれば、
  あとは、下を向いていようが、私のせいではない、って思ってた。
  本人が、そうしてるんだから・・・って。
  ・・・ですんでいたんだけど、・・・

Q ああ、そうか、明らかに、人間の歴史をやるようになったら、
  下を向いてるのは、先生のせい・・・
A そうそう、僕のせい、
  授業がおもしろくないからだと思ってしまう。

Q なんだか、おもしろい心理ですね
  自分でやりたいと思う授業をやると、怒鳴れなくなるっていう話?
A うん、うん、考え方が変わるんだろうね。

Q それで、下を向いている子を前にして、
  そっちがそうなら、こっちはこう出てやるぞって、
  100インチを買っちゃうわけだ・・・
  嫌でも画面を見えるように・・・ですね。
  うんうん、やっぱり過激派だね。
A なんと失礼な、僕は、過激派じゃないですよ。

Q まあまあ、それはそんな意味じゃ、・・・
  でも、高校生は突然100インチが出現したら、
  びっくりして、唖然としてたでしょうね。
  高校生だと、頭をこう持って、前を向かせるなんて、
  絶対できないものね
A そんなのは、絶対無理。
  体にさわられるのは、一番嫌い。
  なんだか子ども扱いされたと思うんでしょう。
  自尊心を傷つけられたってね。。
  それも言うことを聞かせるため頭を向けるって、無理!!
  だから、100インチだね、やっぱり意地だね。

Q 100インチの映像で?
A それから、もう一つ、学校がちゃんと
  音響機器も買ってくれたんです。

Q プロジェクターだけじゃ音がねえ、小さいから?
A そう、BOSEのスピーカー。

Q すごいですね、学校とは思えない。映画館のようだ。
A そうやって、私ががんばってるのを見て、
  まわりの先生たちも支えてくれたんです。

Q それは、うれしかったでしょう?
A それはもう、うれしいですよ。
  子どもの話もたくさんするようになったし・・・

Q それから、授業はどこへ行ったんですか。
A あと、アウシュビッツの映画「夜と霧」
  これを見せるのが大変だった。
  最初はいきなり見せたんです。

Q でも、高校生だから大丈夫じゃないですか?
A いやいや、「夜も眠れない」とか
  ぼくの授業を突き放す子も出てきた

Q そりゃあ、ちょっとわかるかも、・・・。
  100インチの大画面で、アウシュビッツの人々のようすを見たら
  衝撃映像ですね、迫力がありすぎる。
  せっかく平和を訴えたかったのに、それ以前に
  ついて来れなくなっちゃったんですね
A 今までは、近寄ってきて、くっついてた子に
  なんであんなの見せたの?
  と、言われてしまった。

Q そこまで言われると、逆でしたね
  でも、むずかしいなあ
  見せなければいいとは思えないですね。
  高校生だからこそ、戦争のほんとの姿を知ってほしい気がしますね、先生。
A 自分の手立てが悪いせいだ・・・と思ったわけ。
  不愉快な目にあったとか、苦しくなった・・・とか・・・
  
Q 高校生だからこそ、感受性が強いのかもしれないですね
A ”伝わったけど、子どもとの関係がこわれた”というのでは困る・・・
  実際には、ノートに返事で
  「その通りだと思います」・・・としか書けなかった。

Q そうですね。遺体を無理やり見せることはできない
  ・・ていうことはそうだし。
A これは、まじめな話ですが、
  一番いけなかったのは、「夜と霧」にたよりすぎたことだと
  今になっては思うわけですけど・・・。
  まず、広島の平和研究所に手紙を出して、
  アンネの日記の写真集を送ってもらった。。
   
Q それは、また、・・・・すぐに実行ですね。
  普通だったらやらないけど、
A いやあ、エンジンが、もうすでにかかっていたんでしょうね
  授業しながら、子どもたちから、いろいろノートに書かれると
  その言われたことを、どんどん解決していった感じかな?
  そうしたら、「想い出のアンネフランク」という
  ミープさんが書いた本でした。
  助けた側のミープさんから見たアンネフランクの本で
  写真パネルを50枚見せましたよ。

Q 私も、アンネフランクについて、最近知ったことがあって、
  やっぱりかくまった側もすごいですね。
  ミープさんは、ほんとうに優しい。
  アンネが好きだったんですね。
A そう、それから、
  見せた子どもたちの中に、ホラー好きだった子もいて、
  フセインの公開処刑の写真まで持って来ちゃう子がいたので、
  これには参りました。
  もし見せて、夜も眠れない・・・なんて困る。
  だから、十分話をしていきました。

Q みんな知ってましたか?アンネのこと
A いえ、
  だから、最初からナチスというものはどういうものか
  「ホロコースト」のドラマを見せたんです。
  全部。

Q また、これこそ過激な!!
  あれは、アメリカのドラマでしたっけ?
  だってドラマだから、10話以上あったでしょうね。
A シリーズものだったから・・・ちょっと長かったかな
  でもね、見せたあと、言ってました。
  ドイツ軍の将校が、ユダヤ人たちを人殺しすることに悩む場面で、
  「何で、悩むのか、そこは、人殺しをしないって言ってがんばるべきだ」って。
  それに、アウシュビッツに送られるっていうことは、殺されるっていうことなのに
  「移送って言って、言葉でごまかしてる」って。

Q さすが、高校生、鋭い!!
A ナチスがどういうものかを、わかっていくわけ
  
Q そしてから、アンネですね。
A アンネの日記は、心と体の話でしょ

Q 私も、中学生ぐらいの時に読んで、
  かわいそうな話だけじゃなく、ペーターと
  どうなるのかって、その方が気になって、ドキドキして読んだ。
A そうそう、
  30分ずつ5回に分けて見せました。

Q 少しずつ、ゆっくり見せていったんですね。
A 1コマ目には、例えば、今日の質問として、プリントには質問を三つ。
  @アムステルダムは、どこ?・・・・とか、
  A三階に荷物をあげるために、アムステルダムの建物では入口が
   狭すぎて入りません。
   どうしたでしょう、とか・・・

Q 答えは、窓から入れるですね。
  フフフ、答えは、こないだテレビで見ました。
A そうそう、窓です。

Q アンネの日記を高校生は、どう思って見てたのかな?
A やっぱり、ペーターとキスをするのかしないのかって、
  ずっと見てますね

Q 先生が見せたのは、白黒の映画でしょ。
A そうですよ。

Q カラーでもそのあとできてるんですけれど、
  白黒の映画は、アンネが、かわいいですよね。
  目がステキ。
A 愛くるしいですね。
  それから、意外に猫がいいんです。

Q あ、猫が出てくる。
A ドイツ兵が家の中を歩いて、
  誰か住んでるんじゃないか?って疑う時に
  猫が出てきて、ああ、猫のせいかって・・・

Q 動物は好きですよね、子どもたち。
  画面に出てくるだけで惹きつけられるのは、その通りですね。
A そうして、何度も危ない場面があって、・・・
  それが、あの映画では、画面が、最後、プッツリと切れてしまう。
  連行される場面で終わり。

Q あ、そこで終わってしまうんですね。
A そう、だから子どもたちは、あのあとどうなったの?って聞きます。
  そして、「夜と霧」でつなぐわけ。

Q ああ、そうして、最後のほんとうの悲惨なようすが
  わかるわけなんですね。
  やっぱり、すごく残酷。
A そう、子どもたちは、絶句。

Q ああ、絶句!!
  それは、そうだなあ。
  アンネを見守っていたわけだから、
  もうアンネは友人ぐらいの気持ちになっていたんですね。
A それが、アウシュビッツですから。
  そして、ナチスと日本も同じようなことをしたんだとか、
  アジアに侵略したんだとか・・・そういうことを勉強すると・・・

Q 高校生にとっては、ショックでしょうけれど、
  でも、真実を知りたがる時期だから、
  それは、きっと受けとめてくれたでしょうね。
A ああ、こう言いましたよ。
  人間をぺらぺらにしてしまうんだね。

Q やっと、心に届きましたね
A いやあ、ちょっと照れますね。
  そうね、心の深い所で共感してくれたってわかると、
  すごく、こっちも幸せになります。

Q いやあ、戦争の授業で、わかってくれたなって、
  そこが通じるとうれしい、・・それはよくわかりますね。
A そうでしょう? 社会科教員として、教師冥利に尽きますよ。

Q だから、アイラブ授業ですね。
  ちょっとこれって、照れくさい言いかたじゃないですか?
A いやいや、ほんとにアイラブ授業なんですよ
  そう思うでしょ?
              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・第5回へ 


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